2025年04月16日

プロンプトエンジニアリングの進化:ベストプラクティス10選

AIへの指示文(プロンプト)を工夫すれば出力精度が高まります。目的や制約を明確化し、例示など10のベストプラクティスを活用することで、生成AIの能力を最大限に引き出せます。

プロンプトエンジニアリングの進化:ベストプラクティス10選

生成AIの性能が向上し、実務への活用が進むなかで、「プロンプトエンジニアリング」がプロジェクトの成否を左右すると言われています。AIへの指示文(プロンプト)の書き方ひとつで、結果は大きく変わるのが実状です。ここでは、プロンプトを高度化し、より効果的な出力を得るためのポイントとテクニックを10個ご紹介します。各項目には具体的な例も挙げていますので、参考にしてください。

1. 目的と出力形式を明確に伝える


ポイント: AIに「どのような形式のアウトプットを求めているか」をはっきりと示すことで、回答の的確性が高まります。


「### レポート形式でまとめてください
目的: 新製品Xの市場調査結果をまとめる
出力: 箇条書きの考察と簡易なグラフの説明(テキスト)を含むレポート
内容: 過去6か月間の売上データと競合商品の動向を比較し、主要な強みを3つ挙げる」

2. 対象読者や利用シーンを設定する


ポイント: 「誰に向けた情報か」「どんな場面で使うか」をプロンプトに含めると、AIは適切な専門用語・文体を選択しやすくなります。


「### 初心者向けに簡潔な説明をお願いします
読者層: プログラミング初心者(JavaScript未経験)
目的: 変数と関数の基本を理解させる
出力: 具体例を交えたチュートリアル文章」

3. 一度に詰め込みすぎない


ポイント: 複数の意図をまとめて指示すると出力が散乱しやすくなります。段階的にプロンプトを送るか、必要に応じて追加の質問を行いましょう。


1回目:
「### 製品Yの機能一覧を分かりやすく列挙してください」

2回目:
「### 今の回答をもとに、主なターゲット層別の活用シーンを追記してください」

4. 制約条件をはっきり示す


ポイント: 「この情報源だけを使う」「XXX文字以内で」といった具体的な制限を与えると、AIがブレにくい回答を返します。


「### 以下の要件を満たす記事を作成してください
・文字数: 400文字以内
・情報源: 2023年版スマートフォン普及率調査レポートのみ
・形式: 3段落の文章構成」

5. 過去のやり取りや文脈を活用する


ポイント: チャット形式でやり取りしている場合、過去の回答を踏まえた追加指示を行うことで、AIが文脈を理解しやすくなります。


1回目:
「### プロジェクトAの進捗を簡単にまとめてください」

2回目:
「### 先ほどの回答内容を踏まえ、次のタスクに必要なリソースを箇条書きで示してください」

6. 例示やサンプルアウトプットを示す


ポイント: 具体的な例やサンプルを書くことで、AIに“こんな結果を出してほしい”というイメージを伝えやすくなります。


「### 下記のような回答を想定しています
『ステップ1:
ステップ2:
ステップ3:
必要ツール: …』
上記の形式で、ウェブデザインの初期設定手順を書き出してください」

7. 原因追究と再質問のサイクル


ポイント: 初回の回答が期待とズレていたら、どこが誤っているのかを具体的に問い直し、再度指示を出します。やり取りの連続で出力を洗練させましょう。


1回目:
「### 製品Zの強みを5つ挙げてください」

(回答がズレていた場合)
2回目:
「### 上記回答のうち、実際に製品Zが備えていない機能が含まれています。それを除外し、本来の強みを正しく挙げ直してください」

8. 禁止事項やNGワードを明確に伝える


ポイント: コンプライアンスや倫理的な観点から避けたいキーワードがある場合は、事前に明示すると安全に運用できます。


「### 以下の条件を守って記事を書いてください
・使用禁止ワード: '~社の製品名', '違法', '暴力的表現'
・文章の冒頭で“【ガイドラインに準拠】”と入れてください」

9. 評価基準を合わせて提示する


ポイント: 「論理性」「創造性」「文章のわかりやすさ」など、どの要素を重視するかを提示すると、AIの回答がゴールに近づきやすくなります。


「### 下記の評価基準に最適化した回答をしてください
・論理性: 主張と根拠が明確
・創造性: 独自の視点やアイデアを盛り込む
・わかりやすさ: 1文をなるべく短く、専門用語は簡単に説明する」

10. テンプレート化とチーム内共有


ポイント: 良いプロンプトを見つけたらテンプレートとして残し、チーム内で共有しましょう。ナレッジ共有の文化が成熟すると、プロンプト精度が飛躍的に高まります。


「#### テンプレート名:提案書用プロンプト
目的:新規サービスの導入提案
形式:ビジネス文書、A4 1枚程度
トーン:専門的だが読みやすい文章
指示内容:対象の課題、解決策、期待効果をそれぞれ箇条書きで示す」

まとめ


プロンプトエンジニアリングは、生成AIを使いこなすうえで欠かせない重要分野です。明確な目的設定や制約の提示、段階的なやり取り、例示を含む具体的な指示が、出力の質を大きく左右します。今回取り上げた10のベストプラクティスを参考にして、自社やチームのニーズに合ったプロンプトを探究してみてはいかがでしょうか。上手に活用していけば、生成AIの力を最大化し、チーム全体の生産性と創造性を高める大きな一歩となるはずです。