2026年04月15日

Accessの属人化はなぜ起きるのか——「作った人しか分からない」の構造と解消の順序

「作った人しか分からないAccess」は怠慢の結果ではなく、個人の道具が部門の基幹に昇格してしまう構造から必然的に生まれます。属人化が進む4つの段階と、いきなり作り替えずに可視化から始める解消の順序を解説します。

Accessの属人化はなぜ起きるのか——「作った人しか分からない」の構造と解消の順序

結論の要約: Access の属人化は、担当者の怠慢でも Access の欠陥でもなく、「個人の道具として作られたものが、部門の基幹になってしまう」という構造から必然的に生まれます。解消の順序は決まっています。いきなり作り替えるのではなく、まず中身を可視化し、業務上の役割を仕分けてから、移行や再構築を設計する——この順番を守るかどうかで、コストも成功率も大きく変わります。

属人化は「Accessの欠陥」ではない——役割が変わっただけ



Access は本来、現場の担当者が自分の業務を効率化するための道具です。プログラマーでなくても、テーブルを作り、クエリを組み、フォームと帳票まで仕上げられる。この「現場で完結する力」こそが Access の価値で、EUC(End User Computing:利用部門による自力開発)の代表格として、長年にわたり現場の生産性を支えてきました。

問題は、道具がよくできていたことの副作用として起きます。便利だから周りも使い始める。データが集まる。気づけば部門の業務が、そのファイルなしでは回らない。「個人の道具」が、誰も任命していないのに「部門の基幹」へ昇格してしまう——これが属人化の正体です。作った人を責めても、Access を責めても解決しないのは、このためです。

属人化はこうして進む——4つの段階



進行には典型的な段階があります。自社の Access がいまどこにいるか、照らしてみてください。

第1段階: 作った本人が、自分の業務のために使っている。中身は本人の頭の中にあり、問題は表面化しない。

第2段階: 部門の複数人が使い始める。「あのファイルに入れておいて」が業務手順になる。仕様書はないが、本人がいるので誰も困らない。

第3段階: 作った本人が異動・退職する。引き継がれるのはファイルの場所と操作方法だけで、「なぜそう作られているか」を知る人がいなくなる。不具合が出ても直せないため、「触らない」が暗黙のルールになる。

第4段階: 触れないまま、業務だけが依存を深める。データは肥大化し、処理は遅くなり、エラーの回避手順だけが口伝で増えていく。準基幹業務が「開けられない箱」の上に載っている状態。

第3段階を過ぎると、時間が経つほど解消のコストは上がります。中身を知る人の記憶が薄れ、関連資料が散逸していくからです。

なぜ「いきなり作り替え」は失敗するのか



属人化に気づいた組織がまず考えるのは「新しいシステムに作り替えよう」です。方向は正しいのですが、順序を飛ばすと高い確率でつまずきます。

理由は単純で、中身が分からないものの要件は書けないからです。画面と帳票を見れば「何をしているか」は分かります。しかし「なぜそうしているか」——どの集計に手作業の補正が挟まっているか、どの数字が別のファイルから来ているか——は、構造を読み解かないと分かりません。ここを飛ばして要件定義をすると、移行後に「前と数字が合わない」「あの帳票が出ない」が噴出します。その結果、旧ファイルが温存され、新旧のシステムが二重に動き続けることになります。

解消の順序——可視化、仕分け、それから設計



遠回りに見えて確実なのは、次の順序です。

(1)可視化: テーブル・クエリ・マクロ/VBA・外部連携の構造を洗い出し、「このファイルが実際に何をしているか」を地図にする。

(2)仕分け: 業務上の重要度とリスクで分類する。役目を終えたもの、個人用途で十分なもの、部門で共有すべきもの、基幹に近いもの。

(3)設計: 仕分けに応じて、残す・統合する・作り替えるを判断し、移行先(クラウド化・社内Webアプリ化・基幹統合など)を選ぶ。

ポイントは、(1)と(2)だけでも独立した価値があることです。全体像の地図があるだけで、「どこから手を付けるか」の議論を、感覚ではなく事実の上でできるようになります。

可視化の壁と、構造解析という選択肢



(1)の可視化は、手作業でやろうとすると壁に当たります。オブジェクトの数は数百にのぼり、クエリがクエリを呼び、VBA がその両方を書き換える——人手で追い切るには相応の工数が必要で、「うちには無理」と棚上げされてきたのが実情です。

REGAZE では、この最初の壁を取り除くために、Access ファイル1本から受け付ける0円の構造診断を提供しています。構造の簡素な解析と可視化、そして仕分け・移行パスの提示まで。属人化の解消は、まず「開けられない箱」の中身を知ることから始まります。

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